[何で読もうと思ったか]
本書を読もうと思った理由は主に3つある。
1つは、失敗への興味だ。
最近この記事を流し読みして、失敗を受け入れて学びを得ることの重要性について考えていたので、「失敗」がタイトルに含まれているこの本に惹かれた。
もう1つは、著者への関心である。
2ヶ月ほど前に、同じ著者の書いた『[試して理解]Linuxのしくみ』という本を写経しながら読んだ。おかげで、多少なりとも低レイヤのことを理解する足掛かりを得ることができた。
その読書体験から、少なくとも私にとってパッと見「つよつよ」な著者が、自身の「失敗」について語ってくれるとしたら、きっとこの本には私にとって教訓となるものがあると感じた。
最後に、たまたま今朝(2020年9月19日)尊敬する2人の先輩エンジニアがこの本についてSNSで言及していた。
意外とミーハーなのでこういう推され方に弱い……。
本書のページ数は27ページとそれほど多くないので、30分ほどで読み終えることができた。エッセイ集の形式で読みやすい内容だった。
収録されているエッセイは以下の通り。
プログラミングでつまづいてきたこと
重要そうだけど興味のないことを頑張っても大していいことなかった話
趣味でプログラミングを始めようとするときの様々な誘惑
実体の無い完璧超人と戦っていた
得意分野はひとつとは限らない
完璧超人や完全上位互換な人に出会ってしまったとき
何でもできると思われがちな人ができないこと
「仮説の誤り」 != 「無駄」
性能と性能測定の基礎
私のコード履歴書
ソフトウェアのサポート業務とはどのようなものか
メモリダンプの模様とはどのようなものなのか(入門編)
[読んで何が分かったか]
自分にとってパッと見「つよつよ」な人でも、色々な失敗を経験しているのだな、と至極当たり前のことを実感できた。
特に、完璧超人に関する章の「時間は有限なので、通常は全部の仕事を一人でするわけにはいかない……(中略)……完璧超人ではない人たちも会社には必要」というくだりは、いい意味で開き直ることができた。
よく「失敗は成功の母」などと言うが、この点についても本書では「『仮説の誤り』!=『無駄』」という章で余すことなく説明されていた。
仮説が誤っていると、自分はよく「もうダメだ……」という気分になることが多い。しかし、本書で書かれているように、そういう場合でも「問題の絞り込みには成功して、調査は確実にするんでいる」ので気を落とさないようにしたい。
そういえば、本書ではときどき「狂犬が吠えている」という表現が出てくる。昔(今も?)そういう当たり方をしていた時期があるので、ごめんなさいという気分で読んだ。
[今後どう活かすか]
思い返してみると、失敗について語った本というのはたくさんある。
振り返ってみると、自分がとりわけ仕事の失敗について語ることはあまりなかった。2年ほど前に社内の別チームでLTをする機会がありそのとき軽く触れた程度で、恥ずかしいのであまり詳細には話さなかった。
自分も、そして自分の話を聞いてくれる人たちも、失敗から何かを学び取り次につなげていくことができるよう、できるだけ失敗を語ることをしていきたいと思う(そもそも成功が少ないので、そっちは話すことがない……)。