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hello there.

今週気になったTLS関連のニュース

2023年2月27日~2023年3月5日に読んだ中で気になったニュースとメモ書き(TLSらじお第95回の前半用原稿)です。

[Chrome Root Program Updates]

こちらのツイートから。

サーバ証明書の頻繁な更新をめざすべく、CAにACME(Automatic Certificate Management Environment、証明書自動管理:RFC 8555)のサポートを要求する方針らしい。

まだドラフト段階のEncrypted Client Helloも時期未定ながら、もうすぐChromeに搭載されそう。

datatracker.ietf.org

こちらのツイートによると、既にソースコード自体は入ってきていそう?それともこれはQUIC(HTTP/3)利用時の話だけで、HTTP/2用の修正とかが今後追加されたりするのだろうか。謎。

Ryan Hurst氏のツイートにあった画像の元の資料はこちらのツイートにある。Chromeチームの人がCA/B Forumのミーティングで発表したものらしい。

drive.google.com

[短命証明書の推進]

こちらのツイートから。同じくChrome Root Program関連。

リンク先はこちら。

www.chromium.org

Chrome Root Programのポリシーが更新され、「Streamlining and improving domain validation practices」というタイトルの節が追加された。
将来の本ポリシーの更新やCA/B Forumの提案において、TLSサーバ証明書の有効期限を現行の397日から90日にまで削減を予定している旨が明記されている。
1年ほど前にRyan Hurst氏Scott Helme氏の予想した通りの展開になりつつある。

早いとこ手作業での更新は止めてACMEにしないと死にそう...。

[CRYSTALS-Kyberサイドチャネル攻撃]

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

www.schneier.com

NISTが標準化を進めている耐量子暗号の公開鍵アルゴリズム候補であるCRYSTALS-Kyberにサイドチャネル攻撃が可能なことがわかったらしい。
電力消費量に着目した攻撃を、ディープラーニングを使って実現したとのこと。人間には見つけられないこういうサイドチャネル攻撃、他にもたくさんありそう...実際、論文の結論のところでは「本攻撃は他のKEMアルゴリズムにも有効」と書かれていた。

eprint.iacr.org

 

[その他のニュース]

▼Bulletproof TLS Newsletter #98

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

www.feistyduck.com

トップニュースはCAA(Certificate Authority Authorization)DNSレコードの利用拡大。認証局によってサポート度合いの差はあるものの、contactemailやcontactphone、accounturi、validationmethodsといった拡張で証明書発行手段をより細かく指定できるようになりつつある。
Javaの乱数生成を予測する手法が紹介されていた。シードをそんな簡単に逆算できるなんてちょっと驚き。

他のニュースは割とうちでもカバーしてるものが多かったので省略。

TCPからQUICへ

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。CISCOの方の発表。

https://2023.apricot.net/assets/files/APPS314/the-new-encrypted-pr_1677641996.pdf

以前紹介したIIJのレポートでみると、日本ではまだUDPは3割に届いていない。一方で、ヨーロッパではQUICが4割を超えており、アプリによっては通信の8割以上がQUICになっている様子。

Google Trust Services + Google Domains

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

security.googleblog.com

Ryan Hurst氏によれば、Google Trust ServicesはWeb上の証明書の7.3%を発行しているらしい。Let's Encryptが50%を超えていた気がするので、なかなか健闘していると言えそう。
Google Domainsを利用している場合、無料でGoogle Trust Servicesを利用でき、ACMEでスムーズに管理されるとのこと。

日本薬剤師会認証局

こちらのツイートから。

スペルミスはまあ仕方ないとして、薬剤師の国家資格所有者に公開鍵証明書が発行されているというのを学べた。何に使ってるんだろう...。HPをみると、オンライン資格確認とかあるからその辺?

www.nichiyaku.or.jp

[まとめ]

こんな本が出たっぽい。ちょっと気になる。