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今週気になったTLS関連のニュース #179

2024年10月28日~2024年11月2日に読んだ中で気になったニュースとメモ書きです。

[MS Root ProgramのOCSP非必須化]

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

learn.microsoft.com

Let's Encryptが「Intent to End OCSP Service」というブログを発表したのが2024年7月のこと。この時点で、1年以内にMicrosoftOCSPを非必須化し次第、Let's EncryptはOCSPサービスを停止する予定とされていた。

C.3でも「CRL recommendations when OCSP is not present...」とあり、OCSPがないケースの推奨事項が記載されており、OCSPが必須でなくなっていることがわかる。早ければここから半年くらいでLet's EncryptのOCSPが無くなるのだろうか。

ルートプログラムごとの要件の差異とかも気になるので、またいずれ調べてみたい。

[Cryptography & Security Newsletter #118]

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

www.feistyduck.com

トップニュースはCA/B ForumのSC-081の件。証明書の有効期限が短くなっちゃう...。
ちょうど自分もTLS季報 vol.3で「驚き」と書いたが、本家のニュースレターでも「case as a shock」と書かれているので、似たような感覚だった模様。NginxやIISなどのWebサーバが自動化のためのACMEをネイティブサポートしていない点が問題としてあげられている。なるほど。

気になるショートニュースは以下。

[その他のニュース]

▼Entrustに関する日経コンピュータ記事

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

xtech.nikkei.com

気になる。日経コンピュータ読んでみようかな...。

AWS Route53のHTTPSレコードサポート

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

aws.amazon.com

HTTPSレコードはDNSのレイヤで、該当ドメインにアクセスする際に利用するEncrypted Client Hello向けの鍵情報を提供してくれたり、利用するHTTPのバージョン情報を提供してくれたりする。

ところでそのECHはいつ標準化されるんですかね...。

datatracker.ietf.org

▼Q3 2024 Summary from Chrome Security

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

groups.google.com

HTTPSファーストモードで、ローカルなサイトで警告を出さないようにできる機能があるらしい。良さそう。

chrome://certificate-managerでChromeのルートストアの中身が見られるようになってた。知らなかった...。

TLS Client Puzzles拡張のドラフト

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

github.com

TLSサーバがクライアントからの接続を受けて暗号処理を開始した後でクライアントが接続を切り、次の接続を行うのを繰り返すDDoS攻撃を回避するために、事前にクライアントに一定の計算をさせるための仕組みの提案ドラフト。HelloRetryRequestでパズルを送信し、ClientHelloで回答を送る。

単純なレート制限だと、NATやプロキシで同一IPから来る「良い」クライアントと「悪い」クライアントを区別できないので、この仕組みを考えたとのこと。

計算に時間がかかりすぎるなどの場合、クライアントは新しいアラートプロトコルのメッセージとしてpuzzle_too_hardを送信できるらしい。ちょっと面白い。

▼NTTの耐量子セキュアトランスポートシステム

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

group.ntt

TLSとはちょっとレイヤが違ってそうだけど、耐量子暗号としてKyberとNTRUの両方を利用しているあたりが気になる。ChromeFirefoxはKyber(正確にはそろそろKyberが標準化されたバージョンのML-KEMになっていくはず)を、SimpleX ChatはNTRUを採用しているように、大体のアプリケーションがどちらかを選択しているのが一般的な気がする。

HTTPS moment for AI

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

machinelearning.apple.com

直接TLSとは関係ないのですが、暗号関連ということで...。

準同型暗号(Homomorphic Encryption)は暗号文同士の演算が可能な暗号。これを利用して、プライバシーと機械学習の両立を図っていくというAppleの発表。

iPhone 16気になる...。

 

[おわりに]

技術書典17の初日公開の締め切りには間に合いませんでしたが、なんとか公開できました。ご笑覧いただけたら幸いです。

techbookfest.org

ほんとはもっと色々書きたかったけど時間が足りず...。