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今週気になったTLS関連のニュース #154

2024年4月22日~2024年4月28日に読んだ中で気になったニュースとメモ書きです。社内勉強会TLSらじお第154回分(GW中だから誰も来ないかも...)。

[Entrust Considered Harmful]

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

webpki.substack.com

2024年3月のEntrustのEV証明書インシデントの件に関連する話題。同じ著者がその件についてもブログを書いている。

webpki.substack.com

Part 1では2024年のインシデント以外にも2017-2019年の14件のインシデントが、Part 2では2019-2020年の7件のインシデントが取り上げられている。BR非準拠で、OUフィールドにハイフンを含む証明書を発行したというパッと見は影響度のよくわからないインシデントもあるが、OCSPレスポンダが無効なシリアル番号に対して「good」のレスポンスを返すという重大そうなものも。2019年にはEV証明書の有効期限は825日までとされていたが、それを超える3年間の有効期限のものを発行したケースもあったとか。

著者は「EntrustはもうCAやめた方がいいと思う(I do not think Entrust should remain a CA anymore.)」とコメントしている(英語的にはshouldだともう少し強く訳すべきか?)。

[Chrome 124での耐量子暗号リクエスト増加]

こちらのツイートから。

2024年4月17日にGoogle Chrome 124がリリースされ、耐量子暗号を利用した鍵交換がデフォルトで有効化された。Cloudflareで扱われるTLS1.3のリクエストのうち耐量子鍵交換が有効であった割合は、Chrome 124のリリース前の2%前後から、10%以上増加したとのこと。

世の中的にはまだサポートしてるサーバが少なそうではある。AWSでもKMSなど一部サービスのAPIでは耐量子鍵交換を利用できるが、CloudFrontとかELBとか外向けのエンドポイントでも使えるようにならないかな...。

Chromeの2024年第1四半期のセキュリティアップデートでもChrome 124のリリースについて触れられている。耐量子鍵交換がデフォルトで有効になるのはデスクトップ版だけのよう。

groups.google.com

[その他のニュース]

PCI DSS 4.0:CT監視義務化

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

scotthelme.co.uk

PCI DSSはクレジットカードのセキュリティ標準。v4は2022年3月に公開されていた。

4.2.1.1の新しい条文で「証明書の目録を維持せよ」と書かれており、これによって実質的にCT(Certificate Transparency、証明書の透明性)が必須になるとか。

後半半分はブログの筆者Scott Helme氏がCEOを務めるreport-uri.comの宣伝。CTログをチェックしてドメインの証明書一覧を出してくれるのは便利そう。

TCP/IP技術入門発売予定

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

gihyo.jp

マスタリングTCP/IP 入門編(第6版)は以前読んだけどQUICの話はさらっと2ページくらいだった記憶。HTTP/2, HTTP/3, QUICの話を一回概観したかったので読んでみようかな。

DHEat DOSSSH

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

www.positronsecurity.com

DHEat攻撃については以前取り上げた通り。上記ブログ記事では、Amazon Linux 2023のEC2インスタンスのデフォルトのSSH設定で、CPUリソースをあっという間に消費できてしまった様子。

kdnakt.hatenablog.com

RFC 8446(TLS1.3)の4.2.7を見るに、TLS1.3でもまだDHEはサポートされている。AWSのALBはどうなってたっけ?と思ってSSL Labsでテストしてみたが、DHEは利用なしとの表示。TLS1.2では確かにそうなんだけど、TLS1.3だと使えたりするのか...?今度検証してみよう。

www.rfc-editor.org

▼wolfSSL + Kyber

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

wolfssl.jp

Kyber以外にも、耐量子暗号関連で複数アルゴリズムの証明書サポートとかも実装された様子。XMSSとLMSはよくわかってないけど署名関連。

アンチウイルスサービスのHTTP経由アップデート

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

arstechnica.com

アップデートを非HTTPSで流してたらMITMを喰らってマルウェアに感染してしまったウイルス対策ソフトがいるらしい。マルウェアの亜種ではカスタムTLSルート証明書をインストールするものもあったとか。

▼Lambda Note社の2024年GWセール

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

www.lambdanote.com

『プロフェッショナルTLS&PKI』のOpenSSLを扱った章をまとめた『OpenSSLクックブック』の日本語版が期間限定の無料公開、かつ『プロフェッショナルTLS&PKI』も30%オフとのこと。素敵。

▼ARI実装ガイド

こちらのツイートから。

リンク先はこちら。

letsencrypt.org

Go言語製のツールlegoを例に、ACMEクライアントが証明書更新時期を通知したりできるARI機能の実装方法が解説されている。

▼bayden.comの証明書有効期限切れ

こちらのツイートから。

日本時間4/26までの期限だったが、日本時間4/28の夜時点でもまだ解消されていない様子。大統領、忙しいのかな...。大統領はbidenだった...orz

▼SHPINCS+解説

こちらのツイートから。

耐量子暗号の署名アルゴリズムであるSPHIINCS+(SLH-DSA)を1枚のスライドで解説してくれている。全然わからんけどきっといつか役に立つ...かな?

[おわりに]

早速読んでます。